ニューカレドニアから、こんばんは。
夕方から怪しい雲が広がってきましたが、日中は良い天気でした。
昨夜遅くに、主人の友人から電話が入りました。
共通の知人が拳銃自殺を図ったと。
35年前。
彼はオートバイで事故を起こしました。
その当時17歳。
未成年でした。
彼の父親は会社を経営していることもあって、不自由になる息子の将来を懸念して、フランスで手術を受けられるようにできる限りのことをしました。
ようやくフランスで腕のいい医者にたどり着いたとき。
彼の母親は言ったのです。
私は飛行機が嫌いだから、フランスなんかに行きたくない。
ニューカレドニア内で手術を受けるように手続きをしてちょうだい。
父親は大きな案件を抱えていることもあり、仕事に穴を開けるわけにはいかなかったようです。
父親は母親を説得しました。
でも、専業主婦の母親は、何と言っても首を縦に振らなかったと言います。
結局、彼が事故を起こしてから数週間後にニューカレドニアで手術。
左側にかなりの麻痺と不自由とが残りました。
彼は成人してから、フランスでもオーストラリアでも手術を受けました。
彼が手術をした回数は15回にも及ぶそうです。
でも。
すでにできることは限られていたのです。
薬を飲んでも痛みが消えることはない。
手術を受けても、たいして変わらない。
そんなジレンマと彼は戦っていたのでしょう。
母親が承諾しなかったから。
そこから、夫婦仲は冷え込み。
憎み合い。
家族はバラバラになったと言います。
そして。
35年後。
彼は自ら死を選んだ。
大きな狩猟用の銃です。
顎から頭を打ったそうです。
すでに成人したとはいえ、子供2人と奥さんまで残して。
悲しいお話です。
彼は母親を許したのでしょうか。
父親も、仕事を休んで自分がフランスへ行けばよかったと自分を責めたでしょう。
来週にはお葬式が執り行われるでしょう。
離婚した両親が久しぶりに会うのが、こんな場面。
辛すぎます。
でも、ようやく痛みから解放されて。
彼は十分頑張ったのでしょうね。
なんて声をかけるのがいいのか。
わかりません。
それでも子供が親より先に。というのはやりきれないです。